母の介護でわたしが気をつけていること。パーソンセンタードケアとその効果とは?

認知症の母との暮らしの中で、日々葛藤や勉強、見直しをしている認知症介護ですが、いろんな認知症の本を読む中で私もいいなと思った介護のあり方について今日は触れたいと思います。

毎日の忙しい中、タスクをこなすことになってませんか?

介護は時間もかかるし、精神的にも日々自分のあり方を問われているような場面に遭遇します。

正直わたしも、タスクを上からこなしていくようなやり方になってしまっています。

だけど、パーソンセンタードケアという考え方を知って母への接し方を見直すきっかけになりました。

これをきっかけに、介護がしやすくなったという効果もあったので私なりに感じたことなどを書きたいと思います。

パーソンセンタードケアとは

現在の認知症の主流は、1986年頃イギリスのトム キッドウット(Tom Kitwood)が提唱したと言われていて、次の4つの理念で成り立っているそうです。

1、その人を中心にしたケア

2、その人の視点に立ったケア

3、その人の内的体験を理解するケア

4、その人らしさを大切にするケア

どれも人を主体としたケアですよね。

頭では理解しているけれど、実際家庭の中でそれをしようと思うと忘れがちになるのがこの「人」を主体とすること。

 普段、わたしは日中平日は仕事に行きながら介護をしています。朝も家を出る時間までで朝食の用意などをして、できるときは洗濯をして・・・。

そのため、日々のタスク(すること)があって、それをするためにどうしても母の介護を丁寧にしているつもりでも、自分中心のやることが終わるように母に仕向けてしまっていることがあります。

行動も遅く、同じことを繰り返すことも多いのでそれにいちいち付き合ってられないというのが本音。

わかっているけど、やる事優先にいなっていきがちでした。

急いで欲しい時ほど、朝起きてくるのが遅かったり、服をなに着たらいいの?なんて普段聞かないこともあるのにいろいろ聞いてきてしなければいけないことが進まない・・・・なんてことがよくありました。

その時にいくつか読んでいた本の中で「パーソンセンタードケア」という介護の仕方について触れていてとても良いなと思ったのです。

母中心の介護の仕方に変更してみる

介護をし始めたとき、一生懸命やっているのに母は協力的じゃない、言葉を選ばずに言うなら私の仕事を増やして煩わせるとまで思っていました。

わたしも余裕がなかったのですが、その本には、問題行動や認知症の方がその行動をするのには理由があり、それをわかるにはその人の立場に立って、その人が今までどんな経験をしてきたか知ることも必要だということが書かれていました。

それを読んで、とても時間の必要なことだとも思いましたがまずは週末少し自分にも余裕がある時に、母に何かをするときに「どうする?」って聞くようにしていくようにしたんです。

例えば、お風呂でこんなことがよくあります。毎日髪を洗うことを忘れるので、入る前に声をかけます。

わたし「今日は髪を洗ってね!」

母「わかった」

お風呂からすぐに出てきたので

わたし「髪洗ったの?」

母「洗ってないよ」

わたしが言っていたことも忘れてしまうんですよね。

それで、もう3日間になるから洗わないと!って言ったら「しんどいの!」って言って自分の部屋の扉をバタンって閉めてしまいます。

不潔なのはよくないし、母を思って言っていることなんですが、母はそれが気に入らなかったんですね。

そこで、母を中心に考えてみて言い方を変えてみました。

わたし「あしたデイサービス行くし、綺麗にしていったら?髪洗う?」

母「そうね、洗っておこうか」

わたし「いいブラシあるから、洗ってあげようか?」

母「じゃあ、洗ってもらおうか」

わたしの目的は、髪を洗って欲しいこと。

何度も言ってもできないと、それにイライラしてしまうより、手間はかかるけど髪を洗ってあげるということで目的は達成できたのです。

おしゃれが好きだった母なので、綺麗にしてデイサービスに行きたいというのは母の意思に沿っていたようです。

このように、母の意思や母が好きだったことを思い出しそれに絡めて話をしたりすることでずいぶん穏やかになった気がします。

徐々に出てきた効果

その人らしさを大切にするケアが大切だということはわかってきました。その中で、母の場合だと認知症になる前は、裁縫が好き、植物が好き、料理が好き、絵を描くのが好き韓国ドラマが好きでした。

こういう目に見える部分に注目してしまいがちですが、パーソンセンタードケアというのはそれよりも認知症になったからこれはできないだろうとか、こうしてもわからないだろうということを勝手に判断するのではなく、認知症は1つのユニークな個性と見て接するということが大事なんだということが何より重要だと言っていました。

 好きだった韓国ドラマも物語が追えなく、話の筋が理解できないのでお笑いの方がその場限りでなんとなく見ていて楽しいようです。

植物は好きだったけど、庭に出ることはほぼなくなりましたが、イギリスのガーデニングの番組があれば一緒に見て綺麗だね~なんて言っています。

以前できていてできなくなったことをできるように持っていくのではなく、今心地よく楽しめることをさせるようにしていることで、気持ちが安定してくれている気がします。

そうなると、家事や作業が減るわけではないですが、母がイライラすることもなく、穏やかにしてくれているだけでわたしもまた、気持ちが穏やかに介護を行えるのはとても精神的に楽になった気がします。

今後のこと

このパーソンセンタードケアは理想的な私も実践していきたい介護だと思いますが、実践するには

1、ゆったりとした余裕のある時間

2、小規模の環境と馴染みの人がいること

3、安心できる居場所と役割

が必要とされています。

現在一人で介護をしているのでこれを実践するには仕事の時間を減らすなどの余裕を持たなければしっかりしたケアはできないと思っています。

でも、生活もあるためまずは週末からできるだけ余裕を持って物事を行い、これを絶対週末しなければと作っていたタスクを少し減らして母に当てられたらと思っています。

ありがたいことに、家は母にとって一番居心地がよく安心できる場所であるということは母の様子からもわかります。

ですが、ずっと母の状態もこのままではないと思うのでショートステイなどを使ってみたりして自宅以外でも母の安心できる場所ができるといいなと思っています。

認知症だからということだけでなく、安心できる場所というのは人間みんな心の安定の要素の大きな1つですよね。

認知症だからと特別扱いをするのではなく、基本は今までと同じように接するのにはちょっとコツが必要なんだと思って今後もいろいろチャレンジ&エラーを繰り返しながら介護を続けていきたいと思ってます。

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