認知症の介護をされている方は、その症状から悩まされることも逆に学ぶこともありませんか?
わたしは母の認知症をきっかけに、大げさかもしれませんが、生き方について学ぶきっかけをもらったと思います。
今日はそんなお話を少しさせていただきます。
もくじ
先のことを考えすぎない
いつからでしょうか、学生や社会人になるといくつかのタスクを持って、どれだけ効率よくこなせるか、先を見越して行動していきましょう!なんてよく言われることですよね。
今、介護をされている方はとくに先に先にと考えて行動されているのではないでしょうか。
現実問題、先のことを考えて行動しないと、介護される方は待ってくれないこともある。
あれして、これして、あの準備、よく間違えるからこうしておこう・・・思考は止まりません。
タスクはゼロになることはないんですよね。
でも、それって本当はとても疲れるし、どんどんその場を味わえなくなってしまうんです。
そうなるとどうなるか・・・心ここにあらずと言いますか、味わいきれてないのですべてがあまり実感のないものになり、満足感が得られない。
大袈裟さかもしれませんが、人生を振り返って自分で納得いくものではくなる可能性があると思います。
それでは、まったく人生が楽しくないですよね。
人生を楽しむということでは、実は認知症の母は一番楽しんでいるのではないかと思ったのです。
その瞬間を味わう、人生の充実感をあげる方法
認知症は近似記憶、自分が行ったこと、見たもの、すっぽりその部分が抜けてしまう脳の病気です。
まだ、母の認知症に慣れていない時、例えば美味しいケーキを買ってきて一緒に食べました。
美味しそうな料理を作っていつもより時間を使って作って出します。そうすると、その瞬間は美味しい!と言って食べてくれます。
そのときは、こちらも作ったかいがあったと嬉しいものです。
でも、食べ終わって10分くらいしたら、すっかりなかったものに・・・
さっき「おいしいね」と言った会話は、なかったものになっているのです。
そのときは、今でもがっくりします・・・
人って、どこかで共感して楽しみたいと思ってしまうからでしょうか。
でもそんな母から1つ学んだこと。
後から振り返ると覚えてないけど、その瞬間は確かにすごく美味しかったし、嬉しかったということ。
だから、本当はそれでいいのです。
思い出して、あのときはよかったね~ということも、もう一度その感覚を味わい感じ合えるのでとても意味のあることだと思います。
母はそれができなくなってしまったのなら、その瞬間は間違いなく喜んでいたのだからそれ以上求める必要はないなと思ったのです。
自分自身を振り返る
母の介護から、大袈裟かもしれませんが改めて自分の人生を振り返ってみました。
もともと、先に先にと考えるタイプだったので常にここにあらず、意味なく先に意識をずっと向けていた気がします。
自分は今にいるのに、いつも気持ちは先。人生ソンしてるなと思ったのです。
これって、お昼を食べながら、もう夜の夕食を考えてしまうようなもの。
お昼ぜんぜん味わってないですよね!
時間がなくても、いったん意識を未来から今に戻して数分でもいいから味わう。
そうしたら、とっても毎日が深い出来事のように思えてきました。
介護の毎日だと、そんな時間取れませんよ!という声も聞こえてきそうですね。
私も実際、そんな落ち着いていられないときもあります。
次の日の料理をしながら、ちょっと余ったものをつまみ食いして夕飯済ませるとか、
母の残したものを食べて済ませるようなこと、できるだけ減らしたいと思いました。
ゆっくり時間をとってとは言いません。
5分でも10分でも、しっかり椅子に座って、手を合わせて、食事と向き合う。
食事以外のものでもいいと思います。
スマホを見ながらのな・が・ら・をなくして、ちょっとずつ自分の時間を取り戻しませんか?
未来を意識して行動しているのも自分なら、きっと今に意識を向けて行動することもできると思います。
介護をしながらでも、自分の人生をちゃんと生きたいですよね!