少し前に購入して、一気に読み切ることができていなかった認知症について描いた本『認知症世界の歩き方』を読み終えました。
今まで、認知症の親や、伴侶の方の介護の様子を描いた本はたくさん出ていたと思いますが、認知症の方の世界がどんなふうに見えているのか、認知症のある方がどんなことを経験しているのかそれをわかりやすいイラストで描かれている本は初ではないでしょうか。
なんだかディズニーランドのマップを見ているかのような、ちょっと楽しくなるけれど、認知症の症状がどういったものかまだ全てわかってない私にはとてもためになる本でした。
私の母に当てはる症状や、これを読んだことで気づきを得たことを今日は綴りたいと思います。
もくじ
理由を知れば介護は少しラクになる
認知症介護の困りごとと言いましょうか、介護をしていて少し辛いなと思うことにどうしてそれを母がやるのかを理解できないことがあります。
理解できれば事前のサポートやイラっとすることも減りそうなのに、理由がわからないから余計に大変だと感じることってあるのです。
例えば、
トイレの失敗がある→もうトイレは自分で出来なくなったんだ
ではなく、服が脱ぎづらいものを着ているから間に合わない、トイレを失敗する前に飲み物を飲みすぎてしまった。。。
など理由がわかれば、服は脱ぎやすいもの、飲み物を飲みすぎないよう少量を見えるところにおいておく。など、少し改善すればトイレの失敗は防げるかもしれないということ。
認知症の母を2年強介護してきて思うのは、行動に母なりの理由がちゃんとあること。
それがわからないから、認知症介護が大変と感じるのだということです。
この本では、“心身機能障害”としていくつものパターンが描かれています。
きっとそのどれかに、ピッタリとは行かなくMIXもされているかも知れませんが、きっと当てはまって改善の糸口が見つかるのではないかと思います。
母が食事をたまに残す理由がわかった!
母の食事は、私が毎食作って朝、昼、夜とお盆を1つずつ分けて用意をしています。
時々あるのですが、おかずによって全く手をつけないものがあること。
その時のおかずは、黒胡麻をかけた確かお浸しだったと思います。
なぜ全く食べてないのだろう?と思ったのですがこの本を読んでわかりました。
黒胡麻は、何か虫がついていると思ったようです。
それ以外も、食事についているものが何か生き物に見えていることがあるのかな?という言動をすることがあるのです。
認知症の影響でしょうが、確かに虫がついているおかずは食べたくないですよね。
何が虫に見えるかはわかりませんが、原因がわかったことでそう見えそうなものを出さない工夫を心がけるようにしました。
認知症を正しく理解すること
母が認知症だと知ると、周りの方は励ましも込めてこう言ってくれる方が多いです。
「私も、最近すぐに忘れることがあってね、歳いったらみんな同じよ。」
この言葉は、一般的なよく聞く言葉かも知れませんが、大きく違うなと感じるのです。
認知症は、忘れっぽいではなく、なかったものになるのです。
記憶がすっかり抜け落ちて、時間軸にその出来事はなかったことになります。
そういった認知症の症状を正しく理解することに、この本はとても手助けとなると思います。
厚生労働省による分析だと、認知症の方の割合は2025年には約700万人(5人に1人程度)に増加すると予想されているそうです。
ということは、その方達を介護する人も増えるということ。
老老介護の場合や私世代の40代、50代の子供が介護する場合も増えてきた時に、個人だけではなく社会も認知症介護をする人をサポートする世の中となっているといいなと思います。
また、同時に医療の発達が進むことを願っています。
それまでは、使える文明の力を使いつつ私なりの母の介護をしていきたいと思います。
この本の作者は認知症を持っている人のことを、“認知症のある方”と表現しています。
この表現が私は好きです。
認知症になったからと言って、その人が変わってしまうわけではない。(どこかまだ認知症を発症すると、もうその人は以前のその人ではないように捉える方が少なからずいるように思うのです。)
あくまで、その人の個性のように認知症があるという捉え方をしてこう表現されているのではないかと思います。
身近な介護をされている方は、ぜひ少し広い視野で介護のある方をみることができる本だと思いますので、お時間ある時に読んでみてくださいね。