認知症介護は、介護する側も介護される側もストレスが溜まるもの。
その原因として、介護する側が相手を思って行っているのに介護される側が嫌がる、抵抗するなどしてさせてくれない。
嫌がる原因がわからない・・・・そんなことの積み重ねが重なって、日々の介護を疲れさせてしまう要因の1つになるのではないでしょうか。
そんな介護をスムーズに、お互いが笑顔になって行える介護の方法があると紹介されていました。
フランスで実践されているという”ユマニチュード”=「人間らしさを取り戻す」というフラン語の造語から作られたその技法と母の介護に照らし合わせてみていきたいと思います。
わたしは介護のプロでもありませんが、専門知識がないからこそ、介護される側に近い感覚で感じたことをお話しできたらと思います。
日本ではまだ浸透していない技法のようですが、メリットとデメリットについても触れていきたいと思います。
もくじ
ユマニチュード技法とは
フランスで1979年、フランスの体育学専門家、イヴ・ジネスト氏とロゼット・マレスコッティ氏の2人が考案した技法が「ユマニチュード」だそうです。
日本に入ってきたのは2012年の頃で、母の介護がなかったわたしが知らなかっただけで以前から実施されている方法なのようです。
高齢者社会が急速に増えて行く上で、改めて注目が上がって最近わたしが目にすることになったのかもしれません。
ユマニチュードという技法は、認知機能が落ちた介護される方に対して、その人に寄り添い、絆をしっかり深めた上でケアをするというのが根底にあります。
認知症の方が、ケアしようとすると抵抗するとかあるのは、その絆の部分が出来上がっていないところにいきなり触れられたり、服を脱がされたり人の尊厳を無視されたようなことをするからだという論理のもと、そのようなケア方法が出来上がったんですね。
介護も医療も共通して、人同士の関わりがとても強い現場で気になることは、お医者さんも看護師さんもとても忙しく余裕がないこと。
高齢者の母などがお医者さんで気になるのは、技術よりも自分の顔をしっかりみて話をしてくれるかということ。
ちゃんと、自分に興味を持ってくれているということが重要なんだと思います。
それは、年齢関係なく、私も病院にいった時に、一番気になること。
その技法は、認知症の一般的な介護はもちろん、認知症という認知機能が落ちてしまったケアされる側の方にもとても有効なように思えました。
ユマニチュード技法の4つのポイント
ユマニチュードの技法には4つのポイントがあります。
- 見る
- 話しかける
- 触れる
- 立つ
見る「相手の存在を肯定する」
これは単純に、ちゃんと相手の視界に入って目線を合わせて、「今あなたとわたしは会話してますよ」とわかってもらうこと。
認知症だけではなく、年齢が行くごとにいろいろなことに意識が届きにくくなります。
私の母も、すっと横に行くと”ビクッ”となってよく「びっくりした!」と言うのです。
ちゃんと遠くからでも視界に入る位置から入って目線を同じ高さに話すことが重要なんですよね。
話しかける「わかってもらえるようにゆっくりと」
話しかける時、自分の言いたいこと優先になってませんか?
認知症の方は、たくさんの言語を理解できなくなっているので、「ゆっくり、わかりやすく、単語は短く、穏やかに話す」と言うことが重要になります。
忙しくバタバタしている日常で、穏やかに話すこと、わたしも忘れがちになるので気をつけないといけないなと思います。
触れる「安心感を与える
急に腕や手首を掴んだりすると、認知症の方は攻撃的なことをされる印象を抱くようです。
背中や、肩など敏感すぎない場所からゆっくり触れることが重要だと言います。
ちょっと違うかもしれませんが、ハグしたりすると、急に親密さが増しますよね。
逆に、人によってはパーソナルスペースに入られると緊張する方もいると思うので、まずはゆっくりお話からして、ゆっくり触れていくというのは効果がありそうです。
マニチュードは海外から入ってきた技法ですが、この「触れる」は実は一番海外ぽいなと思いました。
日本で相手に触れるといのは、今の高齢者の方やその方を介護する年齢の方に一番ハードルがあるのではないかと思ったことです。
わたし自身、母にしっかり触れたり頭を洗ってあげるために一緒にお風呂に入ることに抵抗が最初ありました。
スキンシップにあまり慣れてない日本人らしいところかもしれませんが、その人との「絆」を深くするという意味ではこの「触れる」はとても効果的だと感じます。
立つ「自分はここに存在している」
寝たままであるというのは、世界が立体に見えてないことになります。
自分の足で立つというのが、その人の生きる「力」になるということを改めて思いました。
認知症の方は、自分がそこに存在していることに不安を覚えます。
だからこそ、自分で立って何かできるということは、その不安を払拭して生きる力となるんですね。
単純に、足を動かすことで体に悪影響どころかいいことしか起きませんからね。
この4つのポイント決して難しいことは1つもありませんよね。
普段の介護が少しでもラクにお互いに気持ちよく過ごせるなら実践してみる以外の選択肢はありません。
次にわたしが、母で実践しみてた母の様子をお伝えしたいと思います。
母の介護で取り入れてみた感じたこと
さて、自分の親にこれを実践してみようと思った。ただ、もともとすごく問題行動があったわけではない。ただ、ポイントポイントで、ちょっと抵抗することがあったのでその緩和になればという気持ちもあったのだ。
4つのポイント①見る②話しかける③触れる④立つ、改めて普段の自分がどんな感じで親に接していか考えるきっかけになった。
正直なところ、どれも中途半端だと気づいた。
①見るは特に点数が低い。どうしても、親だということで仕事まえの朝など、何かをやりもって会話をしていることがほとんどだ。母の方を向いてないのである。もちろん、目線はちょっとたまに会うくらい。
②話しかけるは50点くらいだろうか、話はしてるがこちら都合
③触れるは、最初かなり抵抗があったが最近は病院に行くバス停から病院までの道中はたまに手を繋いだりしている。
だけど今でも、やっぱりどこかに気恥ずかしさが残るのだ。自分が子供に戻ってしまったようでね。
4、立つについては、週末には近所の公園に散歩、もしくはランチを持って食べに出かけている。
もともと運動もしていた母、今ではすっかりソファーの住人になり、一気に衰えてしまった筋肉。
少しでも、歩いて健康を維持してほしいという思いからだ。
これら4つをして思うこと、時間が足りない・・・
この問題が次にあげることにつながります。
メリットとデメリット
人を尊重するユマニチュードの技法は、社会としてもみんなが笑顔で元気に、介護する側もされる側も心地いい関係を作るには最高の技法の1つのように思えますよね。
メリットとしては、介護される側はとても穏やかになること。穏やかになることは、介護する側の
負担も非常に軽減されることにつながります。
介護職をされている方の離職率はとても高いと聞きます。その1つとして、一生懸命その方のことを思って接していても、認知症の方は怒鳴ったり、抵抗したりされるので非常に精神的にキツくなってしまうそうです。
家族でもその感覚はあるので、よ~くわかります。
ユマニチュードの技法には、その辛さを解消するメソッドが入っているんですよね。
ではデメリットはないのか?というとそうではありません。
デメリットとしては、私も実際やってみて感じたこととしては、非常に時間がかかるということ。
まだ数回しかしておりませんが、どうしても1つずつの動作に納得して関係を作りつつ行うことは時間に追われている現代人には、意外とハードルが高い。
でも、考え方を変えると、その時間をとって行うことで、結果的には精神的にも最終的には時間の短縮にもつながるのではないかと思います。
そこまで、根気強くできるか!?自分に問いつつこれは自分の課題ですね。
でも、介護をする上で、母には心地よく過ごしてほしいという思いがあるので、この実践ぜひ続けたいと思います。
まとめ
認知症介護で大変なことは、日々のお世話よりも、親が性格が変わってしまったようになったり、良いと思ってやっていることに報われない思いをした時ではないでしょうか。
今回のユマニチュードの技法は、家庭でも介護に関わっている方でも誰でもやり方を実践できて、効果も期待できる方法だと思います。
介護をする側もされる側も、笑顔で尊厳を持って生活できるといいですよね。
認知症の第一人者の長谷川さんの考えとも似ていると感じました。
笑顔で介護ができると素敵ですね。